契約恋愛~思い出に溺れて~


「……っ、んもう」

「俺さ」

「え?」

「紗優ちゃんに何かしてやれるの、なんでか凄い嬉しかったんだ。
なんでだろうってずっと思ってたんだけど。

……そういう事なのかな。

自分がしてもらえなかった事。
あの子にしてあげることで、俺は自分が救われたような気がしたのかも知れない」

「英治くん」

「紗彩も紗優ちゃんも、俺は大事なんだ。ずっと一緒にいて欲しい」

「うん。ずっといるよ」


キッチンで。

紗優の動きを気にしながら、しばらくの間抱き合っていた。

ぬくもりが、言葉よりも確かに彼を癒していくのだろうと思えて。
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