契約恋愛~思い出に溺れて~
大喜びではしゃぐ紗優を、英治くんは手を伸ばして捕まえる。
「きゃあ」
「これからはサユって呼んでいい?」
「いいよう。おじちゃん!」
「お父さんって呼んでくれると嬉しいんだけど」
「あ、そっか。
お。おとうさん!!」
二人ともが嬉しそうに、目尻に皺が寄るほど笑ってる。
思い立ったら即行動の英治くんがおかしくて、私は一人でクスクス笑っていた。
「ほら。着替えて朝ご飯食べにいきましょ?」
私の声に我に返ったように、「はーい」と2人そろって返事をした。
私たちの家族としての関係は、
もしかしたらもう出来上がっているのかも知れない。
だってこんなに自然で、温かい。
戸籍とか、
形式的なことはこれからだけど、
私たちはきっと
もう、家族なんだ。