契約恋愛~思い出に溺れて~

大喜びではしゃぐ紗優を、英治くんは手を伸ばして捕まえる。


「きゃあ」

「これからはサユって呼んでいい?」

「いいよう。おじちゃん!」

「お父さんって呼んでくれると嬉しいんだけど」

「あ、そっか。
お。おとうさん!!」


二人ともが嬉しそうに、目尻に皺が寄るほど笑ってる。

思い立ったら即行動の英治くんがおかしくて、私は一人でクスクス笑っていた。


「ほら。着替えて朝ご飯食べにいきましょ?」


私の声に我に返ったように、「はーい」と2人そろって返事をした。


私たちの家族としての関係は、

もしかしたらもう出来上がっているのかも知れない。


だってこんなに自然で、温かい。

戸籍とか、
形式的なことはこれからだけど、

私たちはきっと

もう、家族なんだ。

< 431 / 544 >

この作品をシェア

pagetop