契約恋愛~思い出に溺れて~


車が見えなくなるまでそこにいて中に入ると、安堵の息が出た。

そして同時に、自分のしたことを思い出して、ものすごく恥ずかしくなった。


あれはある意味、プロポーズよね。

自分からあんなお願いするなんて、意外。

だけどそれが嬉しい。

型どおりの私じゃなくて、あなたといるからなれる私。

自分の中に新しい自分を発見する度に、幸せが湧きだしてくるみたい。


ふと、視線を感じて顔をあげると、紗優がにこにこしながら私を見ている。


「なあに?」

「ママ、嬉しそうだから」

「え?」

「にこにこ。サユその顔好き」


はっきりそう言われてしまって、体中の血が顔の方に集まってるんじゃないかって気がしてくる。

弁解も言い逃れも出来なくって、座りこんでしまいたいような気分。
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