契約恋愛~思い出に溺れて~
彼の中には、きっと二種類の愛情があるんだ。
一つは、男として一人の女性に対する気持ち。
そしてもう一つは、兄としての妹への想い。
それは例えようもないほど深く、強い思いで。
どちらかと言えば、娘の幸せを願う父親の気持ちに近い。
彼は自分を、妹の恋人としては認めることができなかったんだ。
「親が思っているような幸せで、子供は満足しないわよ」
「え?」
達雄が顔をあげる。
まるで迷子みたいな顔。
私も1年前までは、きっとこんな顔をしていたんだろう。
お互いに迷いながら慰め合って、少し救われてた。
ねぇ、達雄。
そうだったよね。
だけどね、踏み出した先はもっと幸せだった。
今私は、幸せだよ?