契約恋愛~思い出に溺れて~
「綾乃ちゃんは、自分の意志で出て行ったんでしょ?
もうあなたの手の中におさまってる子供じゃないの。
私は親に反対されたけど、ユウと結婚して幸せだった。
綾乃ちゃんだってきっとそうよ。
あなたが信じる幸せでなんか満足しない。
あなたの妹でいることを、彼女は捨てたのよ。
それが意味する事から、あなたはいつまで目をそらすつもりなの?」
「紗彩……」
「あなたの親心は立派だけどね。
それで綾乃ちゃんが幸せになると思ったら大間違いだわ。
子供はいつか自立するのよ。
もうあなたの手を離れたの。
だから、綾乃ちゃんの事抜きで、あなたは自分自身の幸せを考えなきゃいけない。
ちゃんと胸に聞いてみて?
今更、他の人を愛せるの?」
「……綾乃以外を?」
「そう。出来る?」
救いを求めるような表情で、達雄は私をじっと見つめた。
なんて不安そうなんだろう。
付き合っていた2年という月日の間、私はこの人をちゃんとは見てなかったんだろう。
冷静になれてようやく分かる。
彼は弱い人だ。
必死で強くあろうとしているだけで、本当はとても臆病な人なんだ。