契約恋愛~思い出に溺れて~
時計を見れば、すでに17時半。
廊下に出て自動販売機でコーヒーを一つ買い、休憩所の方へと向かった。
一つに結った髪が引っ張られて、夕方には軽く頭痛がする。
眉尻のあたりをマッサージしながらあたりを見た。
喫煙室は男性陣で一杯。
元より煙草を吸わない私は、喫煙室には入らず、その手前の廊下で窓の外を見ながら缶コーヒーを開けた。
携帯電話を調べると、未読メールが一件ある。
それを開くと、いつものメッセージが見て、自然に頬が緩む。
『まま。ただいま。おしごとがんばって』
紗優は6歳になってからメールの打ち方を覚えた。
保育園から帰ってくると、母の携帯電話を使って毎日送ってくれるのだ。