契約恋愛~思い出に溺れて~
私は携帯をパタンと閉じ、デスクに戻った。
軽く他の雑務をこなし、青柳君の席へ行く。
「何時に出来そう?」
「えっと、19時半には」
「じゃあ、ちょっと出てきてもいいかしら。1時間後には戻ってくるわ」
「はい!」
元気よく返事をする青柳君に向かって手をあげて、会社を出た。
正直、早く帰るには自分でやった方が早い。
けれども管理職にまでなった以上、部下を育てるという責任もある。
時間がかかったとしても、彼が一人で作り上げるのを待たなければならない。
私は地下鉄に飛び乗ると、自宅のある駅まで行った。
彼の仕事が終わるのをずっと会社で待っていては、娘と過ごす時間が取れない。
どうせ、管理職はサービス残業なのだ。
今から帰れば、30分くらい娘と過ごせるだろう。