契約恋愛~思い出に溺れて~

私は携帯をパタンと閉じ、デスクに戻った。
軽く他の雑務をこなし、青柳君の席へ行く。


「何時に出来そう?」

「えっと、19時半には」

「じゃあ、ちょっと出てきてもいいかしら。1時間後には戻ってくるわ」

「はい!」


元気よく返事をする青柳君に向かって手をあげて、会社を出た。

正直、早く帰るには自分でやった方が早い。
けれども管理職にまでなった以上、部下を育てるという責任もある。

時間がかかったとしても、彼が一人で作り上げるのを待たなければならない。

私は地下鉄に飛び乗ると、自宅のある駅まで行った。
彼の仕事が終わるのをずっと会社で待っていては、娘と過ごす時間が取れない。

どうせ、管理職はサービス残業なのだ。
今から帰れば、30分くらい娘と過ごせるだろう。


< 81 / 544 >

この作品をシェア

pagetop