契約恋愛~思い出に溺れて~
「マーマ! きいてる?」
「あ、うん。ごめん」
「つぎはでんしゃー」
普段はのらない電車に目をキラキラさせながら、紗優が保育園での出来事を私に話してくれる。
ゆっくり聞いてあげれるのは、
週末の2日間しかない。
紗優は、寂しい?
パパがいなくて。
ママが忙しくて。
だけど、忘れられたくない。
パパはあなたが、とてもとても好きだったの。
いつも必死に伝えているこの言葉が、
小さな娘にどれだけ届いているのか、
私には分からない。
ユウ、紗優はこんなに大きくなったんだよ。
すごいな、って笑って、褒めてくれる?