幸せ探そうぜっ!!


大きく息を吸うのもなんとなく恥ずかしかった。


あたしは荒井君を直視できないまま、息を吸うのも忘れるくらい緊張していた。


「あ、えっと……」


「“えっと”は禁止」


「えっ!?」


まだ何も言ってないのに荒井君はあたしのことばをさえぎって言った。


「“えっと”って入るといっきに聞くのめんどくなるからそれやめようか」


荒井君……案外はっきりものを言うんだね。


「はいもう一回!」


指をピッと指されて口ごもる。


――えっと、はダメ……


「森下千鶴……です、えっと」


「はいだめー」


「うぅー」


あたしにはハードルが高いです。


「名前は知ってもらえなきゃ誰とも仲良くなれないでしょ!」


なんか友達いない人みたいな認識をされているみたいです。


あたしにだって友達はいるのですが。


「俺みたいにはっきりと!」


――無理だよ


「荒井君みたいには、無理だよ……、あたしなんか……」


「それ嫌い」


「え?」


「俺は、“あたしなんか”とか、そういう言葉は嫌い」


突然笑顔が消えた。


真面目な顔で、あたしの目を見る。


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