2 in 1
LAST SEASON
宇美は幸い気を失っただけだったので、その日のうちに退院することができた。家に帰ってきたら、父親の勲がテレビを見てガハハとバカ笑いをしていた。息子の入院などまるで他人事だった。母親の公はもう何も聞かなかった。
携帯にメールが1件届いていた。光男からだった。
タイトル「ごめん。」
とあった。落ち込んでいる光男の顔が浮かんだ。
「お前と一緒にいたら、俺まで同じように見られてしまうのが怖かったんだ。でも、それがお前を追い詰めてしまったことがわかった。本当にごめんな。」
と書いてあった。宇美は光男の気持ちがわかる気がした。
「いいよ。俺の方こそ、黙っていて悪かった。お前にはいつか本当のことを言おうと思っていたんだ。俺がお前の立場だったら、きっと同じことをしていただろう。離れたければ、離れてもいいよ。俺達はそれまでの関係だったと割り切るから。」
「今は動揺しているんだ。少し考えさせてほしい。」「わかった。」
宇美は光男にもう何も言わなかった。
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