キスはおとなの現実の【完】
社交辞令でわたしはいう。

「日曜も仕事なんですね。おつかれさまです」

カズトという男の人は、酒屋は客商売ですからといって笑う。

「袴田さんの家、この近所なんですか。すごくラフなかっこうしているけど」

わたしが着用しているてろてろのスウェットをさっそくつっこまれた。

「ええ、まあ」

わたしは苦く笑う以外にできない。
カズトという酒屋がいう。
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