藍色の城
お客様からの誘いがあっても
上手く断っていたし
プレゼントなんて受け取らない。
客商売だから
そんなことあってはならない。
身分上そうやって断れるから
楽だったのに。
頭の中真っ白になって
自分も乗り気とか有り得ないし…!!
だけどいざ二人きりで逢うと
思うほか緊張しなくて
温かい雰囲気を醸し出してる。
最初のキメ顔ではなく、
屈託のない顔だからなのか。
きっとコレが
本来の23歳の顔なんだろう。
最後の方ではお腹を抱えて
笑ってたり、
谷原さんから陽くんになって、
陽って呼んでた。
2軒目に行った小さなバーで
『実はずっと気になってた』って
サラッと告られて
軽く受け流していたけど、
もう遅かった。
私は、彼に恋をしていた。