藍色の城
真っすぐに私を見て、
『咲妃さん』って呼んでほしい。
微笑んでほしい。
無邪気な笑顔を見せて……。
もう気付いたら通話ボタンを
押していた。
プップップという音の後に
プルルル~と繋がるコール音。
出て……!!お願い……!!
キミの声が聴きたいよ……!!
鼻の奥がツンとして、
込み上げる涙を堪えた。
虚しくコール音が続く。
プツッと音が切れて、通話状態になった。
泣きそうになるのを隠して
バレないように気丈に振る舞う。
間違ってかけたフリをした。