藍色の城



真っすぐに私を見て、
『咲妃さん』って呼んでほしい。



微笑んでほしい。



無邪気な笑顔を見せて……。



もう気付いたら通話ボタンを
押していた。
プップップという音の後に
プルルル~と繋がるコール音。



出て……!!お願い……!!



キミの声が聴きたいよ……!!



鼻の奥がツンとして、
込み上げる涙を堪えた。



虚しくコール音が続く。



プツッと音が切れて、通話状態になった。



泣きそうになるのを隠して
バレないように気丈に振る舞う。
間違ってかけたフリをした。







< 34 / 121 >

この作品をシェア

pagetop