藍色の城



『…よかった』



ハッキリそう聞こえたのに
私は聞こえてないフリをした。
いや、リアクションに困った
という方が正しい。



30分後。



サッパリ短くなった髪に
ケープを外し、カット完了。



『お疲れ様でした。』



『ありがとうございます。』



財布を取り出す彼を見ながら
売り上げは明日だなぁ~なんて
ボーッと考えてたら



一万円札を出されて
『また次も指名していいですか?』
と聞かれた。



『え……ぁ、はい!!』



なんか勢いあまって答えてる自分が
すごく恥ずかしく思えた。



彼はニッコリ笑って
『また来ます』と出て行った。
慌ててお見送りをしたけど
尋常じゃないくらい
私の胸は高鳴っている。






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