miss.
「さ、の、くん」
聞き覚えのある声。
廊下の方を見ると、佐野と林田の姿があった。
移動教室なのかな……って何気なしに見てると、林田のボディータッチが半端ない。
ふと、佐野と目が合った。
「……おい、山代」
「え、なに……」
呼ばれて、教室の入り口に近づくと、林田が私を睨んでいる。
どっかで見たようなベージュのカーデ、フワフワの髪。
……あぁ、華菜恵の格好と似てるんだ。
断然、華菜恵のが可愛いけど。
「今日の放課後、ひま?」
「え……特に用事はないけど……」
「じゃあ付き合え」
「えっ、どこに……」
言いかけた時、林田が佐野の腕を引っ張った。
「次、移動教室!遅れるよぉ〜」
頬を膨らませ、プリプリ怒る姿は……腹立たしい。
「……おぉ。じゃー、放課後な」
「あ、うん……」
佐野の遠ざかる背中を見ていると、林田が振り返ってすごい睨みをきかせてきた。
「よかったじゃない。なにか知らないけど、誘われて」
「けど、あれはどーにかしないとねぇ」
私の後ろで嬉しそうにするみなみと、腕組みをしているあずさ。
「………余計なこと、しないでね?」
