バニラ
あたしと結婚したにも関わらず、恭吾は相変わらずモテていた。

「さすが、恭吾だね」

笑いながらそう言ったあたしを、恭吾が見つめた。

「笑い事じゃないだろ、理彩?」

そう言った恭吾に、
「…あっ」

もしかして、今の嫉妬するところだった?

あたし、間違えた?

「…ごめん、恭吾」

申し訳なくて、恭吾に謝った。

「結婚してるのに、部下とは言えもらわれたら迷惑だもんね?

そりゃ、困ったよね…?」

そう言ったあたしに、恭吾はニタリと眼鏡越しで笑った。
< 103 / 150 >

この作品をシェア

pagetop