バニラ
目が覚めて隣を見ると、恭吾はチョコを食べていた。

「……恭吾」

「ん、起きたか」

チュッと、一瞬だけ触れた唇はチョコの味がした。

「理彩も食べるか?」

「いらない…」

力なく首を横に振ったあたしに、恭吾はまたチョコを口に入れようとした。

あたしの方に視線を向けたかと思ったら、ニタリと笑った。

「……えっ、何?

――ひゃっ!」

チョコを持った恭吾の手が、敏感なところに行く。

まだ熱かったそこに当てられたから、当然チョコは溶けた。
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