バニラ
「んあっ…はっ…」

何かを探すようにかき回す恭吾の指に、感じてしまう。

「んっ、感じちゃった?」

わかってるくせに、恭吾はそんなことを聞いてきた。

「あーあ、溶けちゃったみたいだな。

あんなに熱かったら仕方がないと思うけど」

恭吾の指が離れた。

それからシャワーであたしの躰を洗い流した後、
「いいバレンタインデーだったよ」

ささやくように恭吾が言った。

「また、シよっか」

チュッと恭吾の唇が触れた。

「なっ…!」

楽しそうに笑う恭吾に、あたしは返せる言葉がなかった。
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