バニラ
恭吾が運転する車の中で、
「それにしても、すごいやじ馬だったね。

何かあったの?」

運転しながら彼はあたしに聞いてきた。

「何かあったって、聞きたい?」

そう言ったあたしに、
「もちろん、だから聞いているんじゃない」

恭吾が返した。

それはそうかと思いながら、
「あいつがきたの。

昨日の男は誰だとか何とかかんとか言って。

そしたら、俺に隠れて違う男と会ってたのかなんて逆ギレされちゃって」

「ああ、それはひどいね。

最低な男のすることだね」

恭吾は呆れたと言うように息を吐いた。
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