バニラ
そう思っていたら、
「ところでさ、理彩」

「何?」

恭吾があたしの名前を呼んだから返事をした。

「キスしていい?」

「えっ!?」

ゴンッ!

驚いて後ろにのけぞったら、窓ガラスに後頭部を強くぶつけた。

あたし、バカかよ…。

いい年齢(トシ)をした女が窓ガラスに頭をぶつけるって…。

「大丈夫?」

そう言った恭吾だけど、あきらかに笑いをこらえていますよね?

「だって…」

手で後頭部をさすりながら言葉を探すけど、見つからない。
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