バニラ
「おいで」

恭吾にそう言われた瞬間、あたしは意味がわかった。

「な、何言ってるの…」

そう言ったあたしに、
「できない?」

眼鏡越しの瞳に見つめられた。

やっぱり、あたしは恭吾に逆らうことができない。

「俺も俺で、もう限界なんだけど」

恭吾が自分の下半身に視線を向けた。

「――ッ…」

恭吾の視線につれられてあたしも向けたら、返す言葉が見当たらなかった。

「――わ、わかった」

あたしは恭吾の太ももに腰を下ろした。

「フフッ、いい眺め」

そう言った恭吾を、あたしは変態と心の中で毒づいた。
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