バニラ
「何よ、気になるじゃない」

「恭吾は知らなくてもいいの!」

ムキになるあたしに、恭吾はクスクスと笑った。

ずっとこのままが続けばいいのにと、あたしは思った。

「ねえ、理彩」

「…何?」

「結婚しようか」

「えっ?」

そのセリフに、胸がときめかない訳がない。

「…ジョ、ジョーダンじゃないよね?」

そう言ったあたしに恭吾はフッと笑うと、あたしを抱き寄せた。

あたしの額に、恭吾はキスを1つ落とした。

「結婚しよう」

あたしの返事は、もちろん決まっている。

「はい」
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