バニラ
恭吾はあたしの携帯電話を耳に当てた。

「もしもし、理彩?」

和志の声が携帯電話から聞こえた。

「俺だけどさ、今大丈夫?」

そう言った和志に、あたしはウソつきと心の中で毒づいた。

どうせ女と過ごした後なんでしょう?

女と過ごした後、また別の女に会おうとするその神経を疑った。

「理彩なら、今シャワーを浴びてるよ?」

恭吾が言った。

「はっ…?

おまっ、誰だよ!?」

突然のことに、和志が慌てたのがわかった。

当たり前か、突然彼女の電話に自分以外の男が出てきたんだから。
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