母を赦して3000里
今で言うネグディクトってこういうことを言うのかもしれない。

父は自分の人生が何より大事だった。
今ではそう思うようにしている。
ほとんど家に深夜に帰宅。仕事では無く、飲み歩いているのだ。 

女の影は?考えたこともない。だって家に父の形跡が全く感じられないのだから。


父は仕事を転々として結局曾祖父から続く面屋を切り盛りしていた。
祖父までは職人だったが全く自分はやる気はなく、番頭に甘んじていつもパソコンをいじっている父が情けなく思えた。


 お金に困ることはなかったが、母がその分働いていたように思う。
勤勉でキャリア志向の母は兄と私を産んだあと、夜間の大学院に通い英文の教員免許までとった。非常勤ではあるが大学で働いていた。

 父は母に劣等感を抱いていた。時に私に母の家事の粗さを愚痴るようになった。そして大学が長期休みに入り、収入が無い時期が来ると決まって、今おれが家族を養ってやってるんだ。と口論の際に繰り返した。
私と兄は、長期休暇の時期を、決まり文句の時期になったな。と笑って話した。

なぜ母の上げ足を取るようなことをするのかと怒りを覚えたが、次第に父に対して哀れな感情を持つようになった。

この年齢で何も成し得てない父の人生に。。









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