秘密な彼氏
前を歩いているのは、スーツを着た後ろ姿だった。

あの後ろ姿、隆志だよね?

でも今の時間、隆志は病院にいるんじゃ…?

だとしたら、何でここにいるのかしら?

考えても考えても、よくわからない。

名前呼んじゃう?

いやいや、人違いだったら恥ずかしいでしょ。

でも…そんなことを頭の中で思っていたら、後ろ姿がどんどんと遠くなって行く。

ちょっと、行ったら困るんですけどー!

何がと聞かれたら、それはそれでよくわからないけど。

だから、
「――隆志!」

つい大きな声ではっきりと、名前を呼んでしまった。
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