秘密な彼氏
その人が振り返った。

しまった!

顔を見た瞬間、私は手で口をおおった。

名前を呼んでしまったその人は、短髪の黒髪がよく似合う男の人だった。

どこか眠たそうな一重の目が、不思議そうに私を見つめている。

ヤバいよ、マジで人違いだったじゃん…。

その人が私のところへ歩み寄ってきた。

わっ、デカい。

遠くから見てたからよくわからなかったけど、近くで見るとデカくて体格がいい。

口元にはうっすらとひげが生えている。

「――ナマズみたい…」

思わず呟いてしまった。
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