秘密な彼氏
クルクルと、まるで音楽のように頭を流れる隆志の言葉と同時に、隆志の顔もクルクルと回っていた。

真剣な顔。

すねた時の顔。

怒った顔。

甘い笑顔。

隆志が浮気したなんて、信じたくない…!

ポタリ、ポタリと、私の頬を涙が伝った。

「――ちょっ、あやめ…!」

美里が少し椅子から腰をあげたと思ったら、私の顔を覗き込んできた。

「美里ォ、ごめんね…」

泣きながら謝った私に、
「あやめが謝ることなんかないよ!

悪いのは、浮気した北川さんなんだから」

美里が言った。
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