バスケより一番に
「やめて、やめて!!
来ないで!!」
そう言ってもどんどん距離を縮めてくる。
「わっ、私もう帰るから!
じゃあね!!」
私はエナメルを奪うように取り走った。
「あ、ちょっ…!!」
―――――ガシッ!!
とっさに腕を掴まれた。
「なっ…何?」
見てみると真面目な顔になっていた。
「俺も一緒に帰ります」
「いや、でも…」
「女の子一人で帰るなんて危ないですよ」
「私は大丈夫だよ!!」
「駄目ですよ」
そう言って軽くオデコにデコピンをされた。
「いてっ!!」
「分かりましたか?」
まるで年下をあやすように言う霧谷君。
「はぁーい…」
返事をすると待ってて下さいねと言って、私の頭を撫でた。
「私、年上なんですけど…」
…それより小柴君はどうして…
風が冷たく吹いた。
「そろそろ冬か…」
小柴君外にずっと居て、大丈夫だったかな…