Foolish boyfriend~5年前の約束~
お祭りデート
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ピンポーン。
「ん……」
ピンポーンピンポーンピンポーンピンポーンピンポーン。
誰かがチャイムを連打してる。何度も何度も。
同じリズムでピンポーンピンポーンピンポーン…。
「…んだよ……うるせぇ…」
そのチャイムの音のせいで、達哉まで起きてしまった。
「ごめん、多分杏だ…」
浴衣を着せてくれるって言ってたから、多分持ってきてくれたんだろう。
「達哉、服着て」
「んー…」
1人で着られないから助かるけど、チャイムを連打するのはやめてほしい。って言ってもやっちゃうんだろうけど。
そんなことしちゃってるのに、憎めないところが不思議なんだよねー。
眠そうな目を擦りながら、あくびをして服を着始めた達哉。
ピンポーン。
「ちょっと待って」
出るまで鳴らしそうだから、走って玄関まで行った。
「はーい」
ガチャ。
「あ、舞子。浴衣持ってきたで」
「うん、ありがと」
いつもはいる、中村が杏の後ろにいない。珍しいな、中村がいないなんて。
「中村はおらんの?」
「おん。眠い言うてたから、うち1人で来てん。中村おらんでもええやろ?」
まぁ、達哉のことを考えたらいない方が都合いい。達哉、基本的にあたしと仲良くする男子嫌いだから。
機嫌が悪くなったら困るし。
「うん、大丈夫。あがって」
お邪魔しまーす。なんて言って入ってきた杏の手には、少し大きめのカバンが握られていた。