Foolish boyfriend~5年前の約束~
「この辺にうちほどの美人はおらんやろ」
「腐るほどおるわ」
「あんた目腐ってんとちゃう?」
「どつき回したろか。」
あぁ、また始まったよ。
ていうか、今の喧嘩は何が原因だったわけ?
「ははっ、また始まったし」
今まで何も言わなかった達哉が、笑いながら2人を見ている。珍しい、あたし以外のことで笑うなんて。
「あんたのせいで笑われたやん。」
「どう考えてもお前のせいやろ。」
「どっちでもええやん。早よ行かな花火始まるよ」
2人を宥めて、今度は4人で歩き出す。
達哉も初対面のときほど2人のことを嫌ってはいなくて、少しだけ機嫌が良くなってるみたいだった。
「面白いな、お前ら」
歩きながら達哉が言う。
お前らっていうのは、きっと杏と中村のこと。
「いやいや、俺はまともやで?」
「俺はって何やねん。うちもまともや」
「2人とも変だろ」
「「うわー、失礼」」
杏と中村のこと、気に入ったのかもしれない。
「伊藤やったっけ?」
「おう、伊藤達哉。」
「やっぱ毒舌やねんな。初対面から思とったんやけど」
達哉の隣にいた中村がそう言う。まぁ、初対面はあんな感じだったし、印象が悪くても不思議じゃない。
「ふはっ、よく言われる(笑)」
「俺もやねん。あ、ちなみに杏限定やねんけどな」
男の子って不思議だ。こうやっていつの間にか仲良くなってたりするし。