Foolish boyfriend~5年前の約束~
聞き覚えのある2人の声。喧嘩してる感じからして、きっとあの2人だ。
「あいつら、舞子の友達じゃねぇの?」
「うん、杏と中村」
さすがの達哉も2人に気づいたようで、少しだけ呆れた顔で見ている。達哉もいつもはあんなのなんだけどね。
なぜ喧嘩しているのかは知らないが、2人のことだし、きっと大した理由じゃないと思う。だから興味ない。
日常茶飯事だし。
「大体、先に喧嘩売ってきたんお前やろ!」
「うっさいわ!うちがいつ喧嘩売ったっちゅーねん!……あらら、舞子やん!」
「人の話聞けや」
あたしを見つけた杏は、中村を残してパタパタと駆け寄ってくる。中村、怒ってるけど。
「こないな道のど真ん中で喧嘩したらあかんやん。目立ってたで」
「中村がムカつくんやもん。あたし悪ないで、中村が悪いんやで?」
「どついたろか。」
杏の後ろから来た中村が心底イラついた顔で杏の頭をペシッと叩く。
「ちょっ、うち女やで! あー、中村が女どついたー。最低やこの男、ほんまあかんわ。将来が思いやられるわ。」
「お前のどの辺が女なんか言うてみろや。」
あら、中村失礼。
杏だって今日は浴衣着てて女の子っぽいし、髪型だっていつもはしないような、可愛らしい感じだ。
これが女の子じゃないなんて、中村の目おかしいよ。
「あんたの眉毛の下に2つついてるんは目やないんやな。それは飾りやったんか! うちの素晴らしい美貌が見えてへんやん!」
「素晴らしい美貌てなんやねん。アホかお前」