銀杏


「いけない訳じゃないけど、何で尊から連絡がないのかって怒ってたから。」

「いちいち連絡先もらったからってするかよ。傍にも来なかったぞ?」

「…ふうん、そう。」

「父ちゃんや博貴さんがいたからじゃねえの?
父ちゃんは取引先がこの近くで、用事が終わったから見に来たって。このまま家に帰れるってさ。」

「そっか。おじちゃん、何か言ってた?」

「んー、何も言ってなかったけど……」

「けど…何?」

「…嬉しそうだった。」

おじちゃんは普段からそんなに話す方ではない。でも顔の表情から嬉しい時なんかはよくわかる。
きっと喜んでくれてると思う。

だって自分の息子の尊は水泳には興味ないから、私が教えてもらうことになった時、凄く喜んでくれた。もしかしたら尊より大事にしてもらってるのかも。ふふっ…。

「……何笑ってんの?気持ち悪ーな。」

「ひっどーい!可愛く微笑んだだけでしょ。」

「今のどこが可愛いんだよ?やらしーにやけ方だったぞ。」

「尊ー!!」

逃げる尊を追いかけた。




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