銀杏


「はは、構わないよ。あいつのことは昔からどんな奴かわかってる。気にしなくていい。…しかし、北条のことは気がついて、こっちには全然だったな。ま、あいつらしいというか…。」

尊の服をくいくいと引っ張った。

「ねえ、何の話?おじちゃんとお兄さん、知り合い?」

「父ちゃんが若い頃…」

おじちゃんは若い頃水泳をやっていて、お兄さんたちが通ってたスイミングスクールに、おじちゃんも練習に来ていて知り合ったんだって。そこでお兄さんはおじちゃんの泳ぎが気に入って教えてもらったらしい。

「へぇ、だからか。」

「何が?」

「前にね、福田くんが言ってたの。私の泳ぎがお兄さんと似てるって。そりゃそうだよね。同じ人に教えてもらってたんだから。」

「………。」

「あ、そうだ。ミッチと話した?」

「ミッチ?誰だっけ。」

「前に、尊の自転車に飛び出した子。」

「……ああ、あいつか。何でそいつと話さなきゃいけないんだよ?」




< 492 / 777 >

この作品をシェア

pagetop