銀杏


“…オトナになったの。いつまでも泣き虫でいられないから”

“詭弁は結構。あんたには呆れるわ。せっかくチャンスをあげたのに”



“…咲…咲……”

“…誰?……お母さん?”

“どうしたの?そんなに泣いて。怖い夢でも見た?大丈夫、ずっとここにいるから。こうして手を繋いであげる。…ほら、落ち着くでしょ”

“…うん。温かいよ。ずっといて”



眩しさで目が覚めた。

「…う…ん…。」

「おはよ。」

逆光で顔がよく見えない。

でもこの声は…

「よく寝た?さあ起きて。」

「…どこ行くの?」

「あっちのお花畑。すっごく綺麗なのよ。小さな小川も流れてるわ。」

草原をフワフワと歩き出す。裸足の素肌に当たる草がくすぐったい。

クスクスクス…




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