銀杏


「逢いたかった。」

優しい言葉に、優しいキス。

「…続きはまた後で。」

そう言って下りていった。

続き?…後で?

一人で勝手に想像して、真っ赤になった。



お義父さんもお義母さんもとても嬉しそう。
特にお義母さんは昔テニスの選手だったから、尊との話に花が咲く。

専門用語がポンポン出てきて、こうなると咲はついていけない。
黙って話を聞いていた。

真っ黒に日焼けして上半身裸でも服を着てるみたい。
まだこれから夏になるというのにどこまで焼けるんだろ?
私も結構焼けてるよなあ。
手の甲を見つめた。

「…で、咲は?」

考え事をしてて聞いてなかった。

「…何?」

「結果。」

ああ、結果…。結果ね。

「一位。」

「…また咲のが上位かよ。」

ため息混じりにちょっと拗ねた顔をする。

「あ、でもいつも競り合ってるオーストラリアの選手が欠場だったのよね。優勝しても何か…すっきりしないというか…。」

「次の時には出てくるだろ。」

「多分ね。」

そんな事を話ながら食事を終えた。



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