銀杏
ドライヤーの風に髪が靡く。
尊の指が髪を鋤くって心地いい。
目を閉じてしばらく尊にされるがままだった。
いきなりドライヤーの音が止み、静かになった。
「はい、終わり。」
もう終わり?
「まだ少し湿ってるよ。やって。」
「もうやだ。お前、髪長いよ。面倒臭い。」
「やってくれるって言ったじゃない。」
「…眠いからもう終わり。」
「そんなあ。…わかったよ、もういい。その代わり一緒に寝て。」
「はあ!?バカ言え。」
「あ、目覚めた?覚めたらやって。」
頭を突き出した。
「やだね。」
「だって…小さい時はよく一緒に寝たのに。」
「いくつの時の話だよ。この年になって一緒に風呂入ったりしねえだろが。それと一緒だよ。」