銀杏
肩を掴んでいた手がフッと緩んで、照れ臭そうな顔をした尊にもう一度しがみつく。
尊だって…優しい音がするんだよ。
本当は尊が一番なの。
…恥ずかしくて言えなかっただけ。
尊…好きだよ。
大好き。
食事を終え、お風呂に入り、時計を見ると11時半だった。
「遅くなっちゃったね。」
「ま、仕方ない。髪乾かした?」
「まだ。」
「やってやるから持ってこいよ、ドライヤー。」
「ホント?やった!毎日面倒臭いんだよねー。」
リビングのソファーに座る尊の足の間に、すっぽり収まるように座った。