四竜帝の大陸【青の大陸編】
「陛下。飯を食いにわざわざ帝都から来たんじゃないだしょうが。さっさと本題に入って下さいよ。姫さんが気に入ったからって遊んでないで……」
 
ダルフェさんの言葉に竜帝さんは即、否定の言葉を叫んだ。

「こんなおちび、趣味じゃねぇ! 俺様は乳がでかくて腰のくびれた大人の女しか興味無い! こんなちびで、鶏がらみたいな身体の子供に発情できんのは鍋ん中のじじいぐらいだー!」

言葉が良くわかんなくても、悪口を言われるとピンとくるというか。
なんかものすご~く、侮辱的な発言をされたような。
でも、ここは分かったのだ! 
絶対子供って言った。
こ、子供!?

「私、26歳。成人してます! 子供じゃない。身体が小さいのは人種」

この青い竜の目はどうなってんよ!?
サイズは小さいけど顔とか身体つきとかで大人だって分かるでしょう? 普通は。
こっちの世界の他の人は、私が大人だってちゃんと分かってたし。
こんな老けた(自分で言うのは悲しいけど)子供はいないわよ!

「26? 人間の26って子供を3~4人は産んでるような歳だろう?」

青い眼が細められた。
疑ってるのかな? 
まったく、なんて失礼な竜。
もう、いい。 
この人に説明するの疲れる。

「ふ~ん。そうか、うん」

ん?
一人勝手にうなずき、納得してる……。 
放っておこう。

「ダルフェ。竜帝さんの用事なに?」

私は餓鬼竜を無視し、ダルフェさんに聞いた。

「おい、おちび! 俺様にきけよ、俺様に」

無視です、無視。
かわいいけど。
鱗だけど。
無視!

「姫さん。陛下も調子に乗りすぎたが、許してやってくれないか? 旦那はさっき本気で陛下をぶっ殺そうとしたんだしあいこってことで。な?」

そうだった。
言われてみれば。
ハクちゃんは竜帝さんに酷い事してた。
うう~。
ハクちゃんと竜帝さん……どう考えてもハクちゃんのほうが容赦なかった。

一方的に攻撃し、踏み潰そうとしたのは鍋のベットで丸くなって休んでいるこのラブリーな生き物……あぁ。なんてかわゆい姿! 
猫鍋なんて目じゃない。
やっぱり竜のハクちゃんは最高に可愛い!

おっと。
ずれちゃった。 
えっと。
つまり、どっちが悪かったといえばハクちゃんが悪かった。

冷たい美貌に浮かべた憤怒の表情は、ものすごっく怖かった。
もともと悪役美形顔だけど。
ああなると魔王様だか大魔神だかっていうか……。
世界征服を狙ってるんじゃなくて、世界を滅ぼしに来た悪役的かも。
似合いすぎ!
て、いうかハクちゃんの思考・行動ってまさにそうだし。
わ……笑えない。



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