四竜帝の大陸【青の大陸編】

25

すっかり寝入ったはずなのだが。

りこの両腕は、我の首に巻かれたままだった。
まるで離されるのを拒むように細い……細く華奢な身体が隙間無く我に寄り添う。
このまま抱き上げて連れて行きたいのはやまやまだが、もし……もしも落としてしまったらと思うと恐ろしく行動に移れない。

我の腕から落ちたりこは、怪我をした。
脆く柔らかな皮膚から出血するという大惨事があったばかり。
やはり、我はまだまだなのだ。
‘抱っこ’は、まだ早かったのだ。

我の愚か者。

欲望に負けて‘抱っこ’を強行し、結果的にりこに怪我をさせるなど最悪だ。
なので。
今はりこの上半身に手を添えているだけで我慢している。
我は健気だな。

「旦那。いいかげんにやめなさいな。……止まんなくなったら困るの旦那でしょうが。薬で寝かされてる間に手ぇ出されたりしたら姫さんが可哀相です」

りこの頬から口角にかけてゆっくりと滑らせた唇を離し、我は反論した。

「手を出してなどいない。少々、舐めただけだ」

りこの小さな顔に何度も唇を落としたのは、りこを安心させようとしただけであり。
りこの暖かな咥内から唾液……体液を摂取したのは、正当な理由があってのことだ。
投与された薬剤が身体に悪影響、または副作用がないか確認したにすぎない。
やましいことなどない。
うむ。
少しはあったのか?
ま、些細なことはよしとしてだ。
唾液からの情報によると、薬は問題無し。
ただ、カイユが推測していたより効果が持続しそうだが。
疲れていたのだろう。
<青>の馬鹿が来て、騒いだからな。
我の所為では無い……と、思いたい。
通常よりも体力が落ちているところに、カイユ特製の薬を盛られたのだ。
このままだと7日間は目覚めまい。
ダルフェは5日間必要だと言っていたが。
よくよく考えてみると……。

長すぎるのではないか?
我は我慢できるのか?
5日間もりこの声が聞けないなど、拷問だ。
5日間もりこの黒い瞳が我を見ないなど、耐えられない。

駄目だ。
無理だ。

我はもたんっ!
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