四竜帝の大陸【青の大陸編】
「りこ……りこが側に居てくれないと我は、寂しい」

我の腕の中にあるのは暖かくて柔らかなりこの身体ではなく、りこが異界から落とされた時に着ていた‘パジャマ’という衣服と‘スリッパ’なる履物と我の<かけら>が入った絹の巾着袋。

りこが前に言っていた。
この3つだけが『自分の物』だと。

「……我だって、りこの‘もの’だ」

りこの‘パジャマ’に顔を埋めると、りこが抱っこをしてくれたような気がした。


りこ。
寂しいという感情は、とても辛いのだな。
家族を、世界を奪われたりこは『寂しい』はずだ。

りこがこんなに辛い思いをしていたのに。
我が『寂しい』をきちんと知ったのは、感じたのは昨夜からなのだ。

我はまだ‘駄目’なのだ。
『寂しい』を抑えられない。

「りこ。我は寂しいのだ……りこ」
 
我の『寂しい』は、りこが救ってくれる。
りこ。
我のりこ。
 
我はりこの『寂しい』を……我は『寂しい』から貴女を救えるようになりたい。
 
 
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