四竜帝の大陸【青の大陸編】
「とっとと降りろ! 我にりこを返せー! りこ、りこ、りこぉー!」

<白金の悪魔>の狂ったような叫びと。

「さっさとしろ、のろまめっ! トリィ様の午後のお茶は三時だぞ! 間に合わないのはお前が役立たずだからだー!」

愛しい妻の心のこもった声援を受け、俺は降下を開始した。




「ヴェルヴァイド様! お、お待ち下さい! 【繭】は専用の器具と手順で開ける必要がっ」

天才的技巧で『空飛ぶ宝石箱』を屋上に降ろした俺は、へなへなとその場に座り込んでいた。
人型をとる力も残っちゃいないから、でかい竜のままだった。

そんな俺に見向きもせず、ハニーと旦那は駕籠に駆け寄り姫さんの開封処置を始めたようだが……ハニーの焦った声から察するに旦那が切れて暴走してんのか?

あぁ、駄目だ。
目ぇ開ける気力も残ってないわ、俺。

ちょっと寝かせてくれ。
後はまかせたよ、ハニー。


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