四竜帝の大陸【青の大陸編】
【~小話・りこ中日記(りこ中心・中毒のハクちゃんの日記です)~】


x月x日、りこが言った。

「ダルド殿下って、イケメンよね~。王子様だし、もてそう!」

念話なので会話は成立しているが。
単語が分からず、聞き返した。
念話は万能ではないのだ。

「イケメンとはどういう意味なのだ、りこ?」

夜着に着替え、寝台に腰掛けたりこは。
我を膝に乗せ、優しく撫でてくれながら言う。

「イケメンって? いけてるメンズと面を合わせた言葉で、格好良い男の人のことなの。俗語っていうのかな?」

か、格好良い男?
それは、女に好感を持たせる男を表す言葉だな?
あの皇太子が、イケメン。
で。
我は可愛い?

………わ、我が、不利ではないかーっ!!

「りこ! りこは……あ、あいつのような男が好みなのかっ!?」

まずい。
人型の我の容姿は、皇太子に全く似ておらん!
同じなのは目鼻の数だけか!?。
つまり、我の顔は……りこに好かれる要素ゼロなのかぁあああ!!

「ダルド殿下が好み? イケメン君だと思うけど、恋愛対象には……う~ん……」

恋愛?
りこと皇太子が、恋愛!?
あの餓鬼、殺す!

「恋愛感情は持てない。良い人だと思うけど……許せないもの」

りこの顔から、笑みが消えた。

「りこ」

ああ、我のりこ。
愛しい女。
我の宝の心に闇を植えつけた者達よ、覚悟しておけ。
いつの日か、我は必ず報復する。

「……りこ」

りこの膝に顔をこすり付けて誓う我に。

「ハクちゃん……。ハクちゃんは優しくて可愛くて……大好き」

好き?
りこは我が大好き?
可愛いから?

「よし! りこ、我は世界一かわゆくなるの!」

イケメンは無理だからな。
りこの好む可愛いを追求しようではないか。
拳を上げ、宣誓した我を見て。

「ふふっ、そのポーズ! メチャクチャ可愛い」

りこは、笑った。
りこが笑ってくれた。
りこの笑顔。
 
我が世界一可愛くなれば。
もっと、好きになってくれるのか?
もっと、もっと笑ってくれるだろうか?
ならば、我は世界一可愛くなろうではないか!
でも。
本当は。
世界一可愛いのは、我のりこ。
我は2番目。

世界一可愛いのは、愛しい貴女。

< 157 / 807 >

この作品をシェア

pagetop