四竜帝の大陸【青の大陸編】
竜族のつがいとなった人間の身体が、こんな風に変わった例など聞いたことが無い。
確かに……竜珠を与えられ、その竜と性交渉を持つと通常の人間よりも肉体が強化される。 
長命な竜族の核である竜珠を宿すことで寿命も飛躍的に伸びる。
大昔に竜の血肉が不老長寿の秘薬だと誤解されたのは、そのせいだ。
だが。
再生能力は移行しないはずだ。

姫さんの身体の変化は異常だ。
あの状態から完治するなんて。
しかも短時間で。 
竜族の再生能力としては、普通の竜族のそれを超えている。
竜騎士級と同じか……それ以上かもしれない。
1番の問題は、あの眼。 
金の眼だ。

「あの子の目玉、見たか? 旦那と同じだぜ?」

支店長は腕を組み事務所の壁に寄りかかると、眼を閉じた。

「……取りあえず陛下に連絡をしましょう。我々の手にはおえません」

深いため息をついてからゆっくりと眼を開け、俺に言った。

「ふう……貴方を尊敬しますよ、ダルフェ。あのカイユをつがいにしただけでも凄いのに。あの御2人と……<監視者>ヴェルヴァイドと1ヶ月以上も居るなんて。よく生き残ってますよね。私は既にギブアップ気味ですよ」

よく言うよ。
この狸オヤジが。

「慣れですよ、慣れ。俺、旦那とは餓鬼ん時から付き合ってるんで免疫あるんです。それにね、カイユほど良い女はこの世界にゃいませんって。……異界には居たようですが」

姫さん。
もう、あんたは俺とカイユの可愛い娘同然だ。
カイユがそう思ってるなら、俺もそう思うことにする。
なのに。
こんな事態になっちまって。
あんな天然俺様男の嫁に……。
父ちゃん、泣いちゃいそうだよ。




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