四竜帝の大陸【青の大陸編】
私は。
駕籠へ戻ろうとしたのに。
体が思うように動かなくて。
駕籠の側面で身体を支えるように、這いずって扉に近寄ろうとした。

だけど。
強い雨と風に邪魔されて。
冷え切った体が痺れて。
これは自力では無理かもと。
ハクちゃんを念話で呼ぼうって思ったら。
 
目の前に白い竜が居た。

ハクちゃんを包んだ淡く白い光に、雨も風も弾かれていた。
良かった。
ハクちゃんが濡れないで。

すぐに貴方を呼ばなかったのは。
ずっと外で頑張ってくれてたハクちゃんを、また悪天候の場所に出したくなかったから。

あ。

パジャマを着てくれてるの?
やっぱり、似合う。

とっても、可愛い。
呼ばなくても、来てくれたね。

嬉しくて。
涙が出た。

ちょっと恥ずかしくて。
顔を隠した。

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