四竜帝の大陸【青の大陸編】
ハクちゃん、貴方は。
 
「貰ってくれたら、すごく嬉しい。こんな物しかあげられない私だけど、貴方が……ハクちゃんが好き。世界で1番大好き……ねぇ今、ここで着せてもいい?」

ぱっと顔をあげた白い竜は。
小さな胸にパジャマを抱いて。

ぽろぽろと。
金の眼から。
涙を。

真っ白で綺麗な貴方。
貴方はいつも。
私の心を救ってくれる。

「知らなかった、我は。……嬉しい時も涙が分泌されるなど」
 
どんどん貴方が好きになる。
ますます貴方と離れられなくなる。

「我も、りこが大好きだ。我もりこが1番……いや、りこだけが」

私はパジャマを大事そうに胸に抱いたハクちゃんを、そっと膝の上にのせて、零れる涙を舐めてみた。
眼の際から、顎の先まで。
丹念に舌を這わす。

「り、りこっ?」

金の眼が真ん丸くなって。
涙が止まってしまった。
むむ、ちょっと残念。
ものすごっく、可愛かったんだけどな。
頭から噛り付きたいくらい、可愛かった。

「ふふっ、ハクちゃんの涙ってキリンレモンの味がするよ? ぜんぜん、しょっぱくない」 

真ん丸くなった金の眼をくるんと回し。

「きりんれもん? よく分からぬが。……りこは涙も血液も、唾液も汗も。全ての体液・分泌物が甘いぞ? 我の好物だな」
 
うーん。
なんか微妙。
まあ。
まずいより、いいか。

「ハクちゃん。パジャマを着て、一緒に寝ようよ。寝るまねっこでいいから、ね?」

私は彼にパジャマを素早く着せ、小さな頭に帽子をかぶせたハクちゃんを抱いて布団に潜り込んだ。
頭からすっぽりと。
そうすると。
布団の中は。 
2人だけの小さな世界みたいで、ハクちゃんを独占した気分。
嬉しくて。
 
ハクちゃんにキスをした。

「風邪が移ったら、ごめんね?」

竜って、風邪ひくのかな?

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