四竜帝の大陸【青の大陸編】
私の向かいには、カイユさんが座った。
ハクちゃんは私の隣にちょこんと座って、手足をにぎにぎしながら言った。

「りこ、咽喉の具合は? のど飴とやらは効いてるか?」

カイユさんが私のために持ってきてくれたのは、のど飴だった。
ほのかなミント味のそれは、痛む咽喉をとても楽にしてくれた。

「うん。すごく効くのど飴だよ、美味しいし。カイユ、ありがとうございます」

カイユさんは優しく微笑み、クリーム色の飴が入った蓋付きのガラスポットをテーブルに置いた。

「咽喉の痛みが完全に無くなるまで、小まめに舐めていて下さいね」

私はうなずきながら……ふと、気になる。
あれ?
ハクちゃんもこないだ飴というか、お菓子のような物を口に入れてくれた。
ハクちゃんがお菓子を持ち歩いてるとは、思えない。

あのお菓子は口ですぐに溶けてほんのり甘くて、一粒食べたら気持ちも落ち着いた。
お菓子じゃなくて安定剤とか……薬だったの?

「カイユとおちびは此処にいろ。俺様はじじいに話がある……庭に出ろ、じじい」

竜帝さんは短い腕を組み、ふんぞり返りながら言ったけれど。
ハクちゃんは返事をしなかった。
テーブルに置かれたガラスのポットに魅入っていた。
小さな身体を乗り出すようにして、金の眼を細めながら……。

「我も欲しい」

と、言った。

「え?」
「は?」
「じじい?」
 
ハクちゃんの言葉に皆が反応した。
食べ物に全く興味を持たないハクちゃんが、のど飴が欲しいって言ったのだから。
それは驚きますって、うん。
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