四竜帝の大陸【青の大陸編】
「竜帝さんっ! おと、おと、男の人なの? だって、顔が、顔が! だって、背が……身長が!」

そりゃ、声が女性にしてはちょっと低いけど。
ハクちゃんとお似合いの、絶世の美女!
並ぶと、まさに理想の一対。
本当に、男性なの?
だって背が……低い。

竜族の成竜男性は、2メートル超えなはず。
皆、ハクちゃん並みの長身が普通。
この竜帝さんはカイユさんより少し低い……。
あ、でも。
セイフォンの離宮で竜帝さんが成竜の雄だから、ハクちゃんと揉めたんだった。
れっきとした大人の男性ってことよね。
見た目は美女だけど。

「ぎゃああー! 背の事は、言うなぁあああ!」

耳を塞ぎ叫ぶ竜帝さんに、ハクちゃんは冷めた視線を送る。

「<青>は竜族の雄では稀なちびなのだ。幼い頃に菓子しか食わんかったからだな、きっと」
 
ち。
ちび。

「こやつは、雌の平均身長以下なのだ」

女性以下ってこと?
竜帝さん、ちょっと可哀相かも。
長身の竜族の中で、普通より背が低いなんて……親近感が。

「ばらすなーっ、じじい! てめえと違って俺様はまだ若いんだ! 飯を沢山食えば、まだ伸びる可能性があんだよ!」
「あるわけなかろう。成長期は終わったのだから」

うわっ、ハクちゃんって容赦無い。

「俺様は奇跡にかけるんだぁ~! じじいに異界からつがいが現れるなんて奇跡が起こったんだから、俺様の身長にも奇跡の可能性がある!」

竜帝さんは包帯の巻かれた指で、びしっと私を指して言った。

「我のりこを指差すな」

ハクちゃんはふわりと飛び。
竜帝さんの指を、小さな爪で軽く弾いた。

「ぐわーっつ! また骨折れたじゃねえか、くそじじい! やっと骨が、くっついたのに……この鬼サドがぁ!」


奇跡。
貴方と会えた、奇跡。

「ハクちゃん! 意地悪しちゃ、駄目。あ! こら、蹴っちゃダメー!」

貴方が。
貴方が、私の奇跡。





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