四竜帝の大陸【青の大陸編】
『ちょっとだけ、夜のお散歩しようよ。東京の夜と違って、星が綺麗だし。うちはぎりぎり東京都みたいなとこだったけど、あんまり星は見えなかったな……』

とうきょう。
りこが住んでいた都市。
りこの家族が居る場所。

==りこ……抱っこ

そう、りこに言うと。
すぐに我を抱きあげてくれた。
我はりこの胸に顔を埋め、りこの香りを嗅いだ。

りこ、我のりこ。
もとの世界になど、帰さない。
家族になど、渡さない。
りこは、我のものだ
我だけの、りこなのだ!

『ハクちゃん……ごめんね、大丈夫だよ。私、帰れないんだから。だからハクちゃんとずっと一緒だよ?』
==……りこ。

りこは優しい。
もとの世界の話をすると、我が‘不安そうな眼をする‘と言い。
そういった話は、避けてくれていた。
我はそれに甘えるばかりで。
りこに甘やかされることは、とても気持ちが良く。

==りこ。“ぎゅっ”てしてくれ。いつものように、“ぎゅっ”て……してくれ。

『うん。ハクちゃんは甘えん坊さんだもんね〜。抱っこ大好きだもんね、まだ小さいんだから無理ないよ』

りこは我の体躯から、我を幼竜と勘違いしてるようだったが。
都合が良いので、特に訂正はしなかった。
我は‘抱っこ’が大好きなのでな。




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