四竜帝の大陸【青の大陸編】
「ハ、ハクちゃんが竜帝さんを……! 偉いよ、ハクちゃん! やっぱりハクちゃんって、優しいんだよね」

感激~、ううっ。
なんだかんだ言ったって、竜帝さんに怪我させたことを反省してたに違いない!
包帯だらけの痛々しい姿を見て、彼に乱暴な行為をした事を後悔してたんだね?

「じゃ、私はカイユに髪の毛を結ってもらうから。ハクちゃんが言うように、白いお花をつけてもらうね! ハクちゃんは竜帝さんをお願いします」

私は、私以外には少々冷酷な所があるハクちゃんが初めてみせた他人を思いやる言葉に、感動してしまった。

「……では、ここはヴェルヴァイド様にお任せしましょう。トリィ様、参りましょうね」

カイユさんの優しい手が背に添えられ、私をうながす。

「はい。ありがとうカイユ、行ってきますハクちゃん」

ハクちゃんが竜帝さんを自主的に手助け……あんまり嬉しくて、お風呂で気になった身体のこととかどうでも良くなってしまった。
それに。
多少、身体が変わったとしても。
私の事を1番に考えてくれるあの人が、私に害のあるような事をするはず無い。
時間とタイミングの良さそうな時にでも質問すればいいし、他の人が居るところじゃ……ちょっと聞きにくい内容だしね。
支店での初エ……エ、エッチ(さすがに交尾なんて言えないっ~!)が原因で、眼以外にも私の身体は何か変わったのかなんて、皆様の前では聞き難い。
ハクちゃんは繊細で泣き虫なのに、デリカシー無いんだもの。
ダルフェさん達に私……異界人の身体の造りは、こちらの人間の女性と同じだったって平気な顔で報告するくらいだから、皆の前で彼と性的な会話をするのは避けたいのです。
ハクちゃんって、見た目からは想像できない天然なんだもの。

「りこ、花を髪に飾ったりこは、とても愛らしい。我は大好きだぞ」

うわ!?
甘い言葉をさらっと言っちゃうなんて、ハ、ハクちゃん……地球に生まれてたらイタリア人!?
この言動は絶対、日本人じゃなーい!

「カイユと行き、我のために飾ってこい。りこ」

ハクちゃんはそう言って私の左の頬にキスをして、ふわりと飛び。
竜帝さんの青い頭の上に、ちょこんと座った。 
小さな竜を頭に乗せ、温室の床にぺたんと座ったちょっと膨れっ面の青い髪の美女……美人。
なんか、すごく微笑ましい光景。

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