四竜帝の大陸【青の大陸編】

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私的には、お昼ご飯にはちょっと時間が早いと思ったんだけど。
竜帝さんの強い希望により、ランチタイムになった。
陽の光が燦々と射し込む、ぽかぽかと暖かな温室でのランチ。
木製の折りたたみ式テーブルセットは、ダルフェさんが居住スペースの納戸から出してきてくれた。
私も椅子なら持てたので、人数分の椅子を並べて……ハクちゃんの分も用意したけれど。

「りこ。あ~ん」

彼は竜体のままで、テーブルの上から私にスプーンを差し出した。
銀のスプーンには、カカエの卵で作られたプリンが……。

「え……えっと……」
 
しっかりと朝食をとっていたし、なんだかいろいろ大変だったせいか私は食欲が無かった。
温室に椅子を運びながら、野菜スープだけでいいと言ったら。
ハクちゃんの金の眼が真ん丸くなり、黒い瞳孔が一本線になってしまった。

この世界の食事が美味しくて、いつもご飯を楽しみにしている私の「あんまり食欲無いんです」発言に、ハクちゃんはとても驚いてしまったようで、医者を呼べ薬を出せと騒ぎ出してしまった。
いつもの昼食より時間が早いからと、私が彼をなだめて……。
ハクちゃんは、せめてプリンは食べてくれと言って。
カイユさんとダルフェさんも、ハクちゃんと同意見で。
竜帝さんも、巨大なフライドチキンにかぶり付きつつ。

「ちゃんと食え、お前だって食えば背が伸びるかもなんだぞ?」

って、言った。
私は26だから縦に伸びるんじゃなくて、横に広がるんじゃないかな……きっと。 
私から一番離れた席に座った竜帝さんが食べてるのは、みかん箱サイズのフライドチキン。
美女系美人(男の人っぽさゼロなので美男じゃなく美人で)が、巨大チキンを両手で掴んでがつがつと食べるその姿。
うう~、なんか切ないです。
そんなに背が高くなりたいなんて……頑張って、竜帝さん!
私は貴方を応援しています!

「りこ? まさか……プリンも口に出来ぬほど、体調が?!」

あ、まずい。
ハクちゃんに、心配かけちゃ駄目。

「ううん、食べるよ。体調はなんともないし、時間が経てば自然にお腹が空いてくるから心配いらないよ? ……でも、えっと、そのぉ」

竜帝さんがチキン越しに、私とハクちゃんをじーっと見ているここでの“あ~ん”はちょっと……いえいえ、かなり抵抗がっ勇気がっ!
ああ、女神様の視線が痛いです。

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